ボルトをトルク締めする場合に、「六角頭付きボルトとナット」の組合せのケースと、写真のように「通しボルトを使って両側にナット」を使うケースがあります。前者の場合はトルクによりボルトが軸心に対して捻じれた状態で締め終わり勝ちです。後者の場合にはボルトにトルクによる捻じれが残りません。ボルト内に捻じれが残ると振動などでリラクゼーションが起きた時、捻じれを解消する方向へ(=緩む側へ)ボルト頭が少し回る現象が起き、ボルト軸力の減少が起き勝ちです。
これが為に間にパッキンやシールを挟んで締めるフランジボルトでは、安全の為にボルトが捻じれ難い「通しボルト」が良く使われます。この場合、トルク締めの時に止め側のナットが供回りし易い問題があります。ボルト径が大きい場合は供回り防止対策が必要ですが、供回り止め治具やスパナの取付け取り外しの労力は大変です。
こんな場合に「つれゼロワッシャー」を使えば問題が簡単に解決します。
注意して欲しいのは:必ず「固定する側のナット」に「つれゼロワッシャー」を使って下さい。決して、締め側(=回転させる側)のナットに使ってはいけません。締め側に使うとナットの回転力が阻害され、所定のボルト軸力が得られなくなります。つまり、つれゼロワッシャーは、片側のナット(固定する側のナット)だけに使用します。決して両側のナットに使ってはいけません。
大サイズのボルトでは不可能ですが、小径ボルトでは供回りを防止するために写真のようなやり方をする事があります。が、これでは正確なボルトのトルク管理は期待出来ません。正確なトルク締めの為には、右手側のナットに「つれゼロワッシャー」を使えば、完全に供回りを防ぎ問題が解決します。締付け作業は手前のナット一つでよくなり、トルクレンチを使えば正確にトルク締めが出来ます。
ボルトの緩み止めに二枚組ウエッジロックワッシャーがあります。振動などに対する緩み止めとして効果的ですが、先の②の場合と同じようにボルトの両端に使う場合は注意が必要です。ナットを締め込むと、ボルト頭が共回りして二枚のワッシャー間に上右図の通り隙間が出来ます。スパナなどで供回り防止をしても、回り止めが「利き始める」まで供回りを続けるからです。
ボルト頭側の隙間が目視で見難いだけに注意が必要で、緩み止め防止効果が減少します。対策としてボルト頭側に「つれゼロワッシャー」を使用する事で解決します。